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あけましておめでとうございます

2020年

Happy New Year 2020

あけましておめでとうございます。

昨年は多くの皆さまに大変お世話になり、まことにありがとうございました。

2017年にスタートした Rikyu Renovation Plan が昨年の秋にようやく一旦終了いたしました。

建物の今後について悶々と悩んでいた2015年頃から、多くの人のお力添えがあってこそ形

にできたと思います。工事が終了した今では、現在の姿が当たり前で以前の様子を思い出す

ことも困難になっていますが、建物が修繕されただけでなく確実に新しい役割を創造するこ

とができたと思います。

2017年から2019年までの約2年間の間はまさしく生みの苦しみでありましたが、この辛い時期を

乗り越えたからこそ得られたものも少なくありません。一番の変化は住み手の方々との関係性です。

これまでの長い間、入居募集を依頼している不動産業者に多くを頼っていました。

空室が出るとすぐに現状回復し、入居者の募集をお願いする従来のパターンで運営をしていた訳です。これは言ってみれば業者に依存している状態、そして空室期間を短くすることを最優先していたため、貸してサイドが入居希望者の評価を実施するこどは ほとんど現実的ではない状況となっていました。

業者さんから入居希望者の連絡があれば、それを断ることはほぼなく、どんな人物であるかは入居希望シートに書かれた文字を見て想像するくらいでした。家賃についても5000円下げれば入居すると言われれば、ほとんどの場合値下げを行っていたように記憶しています。

 そのような形で入居を決めても、入居さんと貸し手の距離感はかなり遠く 廊下でバッタリ会うことがないよう 無意識に避ける感覚がなかったとは言い切れません。

 また、このような従来のパターンの賃貸経営では年々家賃も下落していく傾向にあり、どうしても最新の設備などに依存してしまう体質に陥ってしまうのです。

 

 私が改善したいと感じていたのは上記のような問題点の改善だけでなく、従来型の運営方法での入居者に対する減点式の改善でした。貸す側と借りる側の関係性が薄いと、どうしても貸す側が有利となりがちになり、強い立場から弱い立場の借り手の悪いところばかりに目がいってしまう減点式になる傾向があります。

お互いのコミュニケーションが不足していることが原因で、ちょっとしたこと、ゴミ出しや多少の騒音などでも悪い印象を抱いてしまうことが少なくないのです。

退去となった際にも、基本的に部屋の価値を落とされたという態度で室内の確認をするようなケースは賃貸業を営むものとしては最悪の状態ではないかと思います。

 私は年々そのような最悪の状況に自分が陥りつつあることを実感し、なんとか状況を改善したいと考えていました。建物も時間と共に確実に劣化していくので、もう待ったなしという状況と判断し、今回のRRPを実行に移したという訳です。

 築50年近い建物に新築建て替えが可能なほどの予算をつぎ込むことは、はたして正解だったのかどうかはいまだにわかりません。工事がいったん終わった今、もし建て替えていたら現在も心配ごととなっている様々なことに頭を悩ませる必要はないのだろうな、と思うことがあります。
おそらく建て替えを選択したほうが、資金調達のことを考えてもやり易かったというのは紛れもない事実だと思います。

では今、後悔しかないのか?そう聞かれればそんなことはありません。

築古の建物をリノベしたからこそ実現できていることもあります。そして何よりリノベを選択したのは、自分が面白いと感じる感性を最優先した結果なのです。

 今回のリノベで実現できたことはいくつかあるのですが、最も価値のあることは住み手と大家の関係性を一新できたことだと思います。不動産屋さんを介すことなく大家と入居者さんが直接やりとりすること、入居さんと一緒にDIYをすること、シェアキッチン等を利用して入居者さん同士の横の関係性を構築すること、などこれまでになかった関係性を作っていける仕組みを構築できたことは、本当にRRP を実施した価値だと思っています。

 2020年は、この古い建物を最大限に活用してさらに人との交流を作り出していきたいと考えています。シェアキッチンや屋上のスペース、そして住人さん達の知識・技能などの協力も得ながらAprtment Rikyu だからできる何かを見つけていきたいと思います。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。