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リノベ工事を考えているひとへ

RIKYUの経験から伝えられること

リノベ工事について聞かれることが増えてきました。

apartment RIKYU の運営には性質上リフォーム、リノベ工事が避けられません。一般の方々よりも多く工事を経験してきたことで、リノベについて聞かれるようになったのだと思います。

そうは言っても所詮素人です。業務としてリノベをされている企業さんや職人さんには知識も経験もはるかに及びません。そんな私がリノベを考えているひとたちへお伝えできることはあるだろうか?と考えました。そのことをまとめたいと思います。

私が思うリノベをすべきケースは、簡単に言うと2つあります。

1. その建物、場所に特別な愛着がある、壊せない・引っ越せない理由がある。

2. 機能性よりもデザイン性を重視する。

この2つが明確な理由であるなら、リノベをおすすめしたいと思います。

逆にそうでない場合、リノベ工事以外の選択肢も十分時間をかけて検討されることをおすすめしたいです。

リノベ工事意外とは、

・新たな土地・建物を購入する、解体して新築にする

・DIYで予算をかけずにできることをする

などになると思います。

リノベ工事はメリットとデメリットが存在します。

私が考えるメリットは、

古いものと新しいものがMIXされた独特の空間を造れる、ということになるでしょうか。

ではデメリットはなんでしょう。

リノベ工事のデメリットは、予算をかけたにもかかわらず保証がない、ということだと思います。

すべてを新しくするわけではないので、古いものに関して保証がないのです。これは工事の業者さんの責任ではなく、リノベ工事がもともと持っている特性なのです。言ってみれば昨日の残りの冷めたご飯に炊き立てのご飯をまぜて食べるような感じなのです。

リノベはデザイン・意匠を変えることは得意です。店舗の改装に近い感じでしょうか。それに対して機能性をアップさせることは不得意です。不得意というのは機能性アップの工事は可能なのですが、費用がかさむという点で不得意なのです。断熱性・機密性をリノベ工事で改善することはもちろん可能ですが、リノベ工事だから安くできると考えることはしないほうが良いと思います。

簡単なまとめとしては、私はこのように考えています。

該当の空間を考える時、機能性よりも意匠性を優先するならリノベ工事で良い。機能性改善のためにリノベを考えている場合は、リノベしなければならない理由を明確にすることが重要。そしてリノベ工事は予想以上に費用がかかることを理解すること。けっしてリノベだから予算が下がるということはありません。

では、「リノベ工事をする」意思決定した場合に話を進めていきましょう。

例えば、現在の建物を解体して新築工事したいのは山々だけれど、解体してしまうと周辺道路が狭く重機が入れないため予算が通常の新築の倍かかってしまう、そんな状況でリノベを選択した。というようなケースや、子供のころからその場所が大好きで今後も引越したくない、建物にも特別な愛着があり機能性をアップしても今の建物の面影をできる限り残したい。などのケースです。

このようなケースではリノベ工事が最善策であることは間違いありません。ではリノベ工事ではどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。何度も工事を経験したくさんの失敗と後悔を経験してきた私が考えることは、リノベ工事をスタートする前にリノベ工事が完成した時のこと、そしてその後の暮らしについて具体的にイメージできるようになることがとても大切だと思います。

自分を俯瞰して、長い時間軸で工事について考えるということです。

以下この点にて綴っていこうと思います。

工事終了時のイメージとは、あくまでもリノベ工事であることを理解するということです。

リノベ工事は多くの予算をかけて行うものですが、あくまでも改修工事です。新築ではありませんから、完璧にはならないことがほとんどです。また今まで気にならなかったのに、新しい部分ができて、古い部分の汚れや劣化が急に気になり出す、ということもよく起こります。リノベ工事は性質上、100点を目指すのではなく70点を目指す工事なのです。多くの時間とお金をかけて70点を目指す工事ですので、100点を取れない状況に納得するためにあらかじめ明確な理由が必要なのです。工事を担当する工務店さんの肩を持つわけではありませんが、リノベ工事は壊してみないとわからないことがほとんどです。壁や天井を壊してみて初めて状況把握ができるのです。

 また、初めて工事を経験する方や、あまり経験のない方が意識しておくべきことは、工事がスタートする時点での見え方・考え方と、工事が終了する時点での見え方・考え方が変化するということです。誰の何に対する見え方かというと、工事を検討されているあなた、施主の工事に対する見え方です。

工事スタート時点では担当する工務店さんや設計士さん、営業さんに信頼をよせ、「はい、どうぞお任せします」というようなスタンスでスタートすることが多いと感じます。その後、工事が進んでいくうちに、工事資金の支払いも発生し実際に銀行口座の残高も減っていきます。さらに工事の中でもっとこうしたいと欲が出てきたり、思っていたものと違う部分を見つけたりと、関係者との話し合いが必要な状況になることも容易に想像できます。

 

頭ではわかっていたつもりでも、実際にお金が動いたり空間が変化したりすることで、必ず新たな感情が湧いてくるのです。この追加・変更が様々なトラブルの元凶となってきます。まったく追加変更のないことが工事としては理想です。

 

しかしこれは誰しも子供ができるまでは 親というものを経験できないのと同じように、やってみるまではわからないというのが現実です。それでも親になるというのはどういうことか、事前に考えておくことはとても重要であることは間違いありません。

そろそろまとめていきたいと思います。

*リノベ工事をするには、明確な理由が必要。

*リノベ工事スタート前に、完成時、完成後のことを具体的にイメージすること。

*施主であるあなたの工事や空間に対する見え方・考え方が変化することを理解しておくこと。

リノベ工事は極端にいうと、いかに割り切れるか、諦められるかが本質です。お金をかけて諦めるという辛い行為でもあります。だからこそリノベ工事には理由が必要なのです。

では明確な理由があって工事をスタートし、完成までに見え方・考え方が変化するとはどういうことでしょうか。

ここでまた例え話なのですが、街の定食屋で昼ごはんを注文するとしましょう。とりあえずメニューを見て昼休みの時間も限られているので、とりあえずラーメンを注文しました。しかし周りの人の食べている様子を見て、追加でトッピングにたまごとチャーシューを追加しました。それからしばらくしていい匂いがして、餃子も食べたくなり注文しました。それから半チャーハンも追加。

ラーメンを食べているうちにビールも飲みたくなってきました。

ちょっと馬鹿げた話ですが、人の気持ちはその時々の状況で変化するものです。リノベ工事においても、頭で想像していたものが実際の空間となって立ち現れてくるとどんどん欲が出て、色々と変更したり追加したくなってくるものだということを事前に理解しておくことができるか、そうでないかは本当に重要な分岐点になると思います。

ただかわいい、カッコいいだけで工事を計画せず、自分が歳をとって生活スタイルが変化していくことや、日本の四季の変化のことなど、工事が終わったあとの生活の様子をできる限り想像して、工事をスタートする前に考え尽くすことがリノベ工事だけでなく、住まい作りの本質だと思います。

そして最後にそのためにできること、重要なことを綴って最後のまとめにしたいと思います。

住まい作りでもっとも重要でかつ現実可能なことは、これだと思います。

『誰と組むか』

多くの工事を経験して強く確信するのは、誰と組むかということです。組むというのは、工務店さんや設計士さん、時には会計士さんかもしれません。工事の起点となるポイントで誰と組むかを真剣に時間をかけて考え抜くことが最重要ポイントだと思います。

そうは言っても簡単にマッチングすることは難しいと思いますが、適正な人物とマッチングするためには実際に工事を経験した人たちに紹介してもらうことでしょう。施主目線で実体験をもとに紹介してもらうことで、ミスマッチングのリスクを低減できるのではないでしょうか。その際に、紹介者の自宅などへ訪問させてもらい、空間に共感できるかも合わせて体感しておくと良いと思います。

リノベに限らず建築工事に完璧はありません。かならず後悔するとことがありますし、不満に感じる部分をなくすこともできません。その時にこの人が言ったこと、やったことなら仕方ない、自分たちもその最終決定を承諾して決定した、というような納得感が得られるかどうか。この感覚をもつことができればその工事は大成功であると思います。

満足のいく工事を実施するには、とにかく関わる人次第です。

施主であるあなたの考え方、暮らしぶり、哲学など聞き入れてくれ、それを実現するために全力をつくしてくれるキーパーソンを見つけることが大切だと思います。ただ、多くの建築に携わる人たちは最初のプレゼン段階ではほぼすべての人たちが全力で良いことを言います。短時間ではどういう人かを見抜くことはほぼ不可能です。そこで時間が必要になるのです。時間をかけて何度も面談し、もしできるのであれば面談意外でも会う機会をつくれるのが理想です。

工事には精神力、胆力が必要になります。

人が良いだけでは工事は思い通りにならないのです。人柄は疑う余地なく好きだけれど、工事の内容は容認できない。目的は希望通りの空間を創造することであって、友達を作ることではないのです。施主はそれだけ多くの犠牲を払って工事に臨んでいるのです。

施主の価値をつねに念頭において、最前線で戦ってくれる人物をいかに見つけられるか。

これが私からのアドバイスです。

ちょっとまとまりがなくなってしまいましたが、今回はこれで終わりにしたいと思います。