リノベーションで大切なこと
今回はいったんRRP小説はお休みです。
これまでの工事で学んだこと記しておきたいと思います。RRPで新たな工事が発生した時や、ほかのどこかでRRPのような工事を行う時に、これまでの経験を無駄にしないためにRRPで学んだ工事の注意点を下記に記しておこうと思います。
1. 工事着工前に工事プランをすべて決め切る
2. 工事にかかる金額は、作業前にかならず見積をとる
3. 工期は必ず守る
以上の3つがリノベ工事でとても重要だと思います。
ひとつずつ見ていきましょう。
1. リノベ工事着工後にさらに色々とやりたくなります。
工事がスタートして現場を見ていると、完璧を目指したくなってくるのです。よく勘違いしがちなのは、リノベ工事は新築工事でないということです。既存の建物の一部を壊しながら既存建物を利用して新たな空間を創るのがリノベ工事です。
「何をやらないか、何をあきらめるかを決定するのがリノベ工事」であるとも言い換えられます。
それを理解していないと追加工事を要請することになります。
いったん追加工事をしてしまうと、追加工事が更なる追加工事を呼び、気がつく頃には当初計画したいたプランとはまったく別のものになっていたという事態に陥りかねません。
では追加工事の何が問題なのでしょうか。
追加工事は予算と工期を大幅に狂わせます。
予算と工期が計画から大きくブレることで徳になる人は基本誰もいません。
万が一、最初は低価格で契約しその後追加工事で予算を釣り上げていくことを、あらかじめ計画している工務店や建築士と契約を結んでしまい、知らぬまに予算が大幅にオーバーしてしまうような事態にならないよう最新の注意を払っておく必要があります。
(普通そんなことはないので、初めての契約での工事の時は注意してください)
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「すみません 壊してみてわかったのですが、ここは計画通りには工事できず変更が必要です。」
という言葉に安易に流されないようにしなければなりません。
ただ、リノベ工事は新築工事ではありません。既存建物の制約条件の中で行う工事ですので壊してみなければ、わからないことがあるのは確かです。
ではどのようにするのが最善なのでしょうか。
RRPの考える最善策は、解体工事とリノベ本体工事 の契約を二つに分ける方法です。
解体完了後に、スケルトンになった空間を再確認し、実際リノベにいくらかかるか算出する方法が良いと思います。
それでは、「1.工事着工前に工事プランをすべて決め切る」を見ていきましょう。
着工前に工事内容をほぼ100%決めることは、見方によっては少し乱暴なやりかたのようにも思えます。時間をかけて現場の様子を見ながら工事の内容を固めていくほうが、満足のいくリノベ工事ができるような気がするのもわかります。しかしRRPではこのように考えています。
時間をかければ良いものができるとは限らない。時間をかければ良いものができると思うのは、無責任である。限られた時間の中で結論を出せない、出さない態度で工事に臨んでいる人は、すべての遅れは良いものを作るためという口実に逃げ込むことになると思うのです。
リノベ工事においては、工事着工前に
どのような生活をおくりたいのか、どのような空間を創りたいのか、そのためにどのような工事が必要なのか詳細に決定しておくこと。
そして実際の工事では、何をあきらめるかを決めておくことがとても重要だと思うのです。
2. 何か変更があった場合は、追加の作業が発生する前に工務店さんから見積をとること。打合せの場所や現場で、「だいたい○○○円くらいですかね、」というような会話で終わらせないことです。作業が数日遅れたとしてもかならず見積書で確認することが大切だと思います。このプロセスで作業が遅れてしまうことになることもあって、追加工事は基本的にするべきではありません。もしリノベ工事に設計士さんがいる場合は、追加工事によって追加される設計費についてもこの時点で確認しておく必要があります。
また、これくらいは追加にならないだろうと簡単な作業をお願いする場合も、基本費用については確認しておくことが重要だと思います。
3. 「工期は必ず守る」とはどういうことでしょう。
「工期は遅れるもの」という雰囲気がリノベの現場には存在しているように感じます。
必要な設備の納期が遅れた、職人さんが病気になった、勘違いしていたなど様々な理由で計画していた竣工日が遅れることが避けられないという雰囲気です。
実際、工事は計画通りに進まないことがほとんどです。天候や騒音のクレームや季節によって作業効率が落ちることも当然あるのです。しかし問題なのは、遅れるのは当然のことで理由を言えば納得してくれると関係者が思っていることです。竣工日が遅れることによって様々な見えない損害が発生していることに気づいていない、もしくはまったく責任意識を持っていないことが問題なのです。
「工期は必ず守る」という意識を、工事関係者全員が持たなければなりません。
そのために工程表を精査し、竣工日までの工期をコントロールするのです。工期を守る意識がなければ、工程表はとりあえずのものになりますし、現場ば何日か空いたとしても最後に頑張ればなんとかなる、というような根拠のない日程管理によって必ず工期は遅れます。
そしてさらに問題なのは、工事でのラストスパートです。工程管理が不十分なために本来十分に時間のあった工期が遅れ遅れになり、最後の数週間でラストスパート(いわゆる突貫工事)でなんとかしようとすることです。リノベ工事は建築工事ですから、見えない部分の工事をいかに丁寧に行うかがとても重要なのは言うまでもありません。突貫工事はこの見えない部分の工事の質を低下させ、見えるところの工事をとりつくろってなんとか終わらせようとさせるのです。
このような事態に陥らないためには、まだ時間に余裕がある段階こそ注意を払うことが大切だと思います。一週間の予定を確認し、きちんと工事が予定通り遂行されているかどうか。もし遅れた場合は、どこでそれを挽回するのかその都度関係者に確認をとることです。
最後にひとつとても重要なことを記しておこうと思います。
工事は数多くの専門技能をもった人たちによって行われます。工事は人とのコミュニケーションの蓄積です。工事によってある空間を作り上げるには様々な確認をしていかなくてはなりません。
工期を遅らせる原因、工事の質を落と原因、クレームを発生させる原因など
様々な問題を引き起こすやりとりがあると思っています。
それはこんな会話です。
A 「あの件、どうなりましたか」
B 「あ、まだできてないです」
A 「なんでまだなの」
B 「私はちゃんと頼んだんですけど... ○○○○なので..」
仕事はそれぞれの責任範囲で結果を出すということです。結果までの過程を仕事とは呼びません。求められた仕事に対して、その過程報告をもって仕事と思うのはナンセンスです。
ある本で読んだのですが、
ビル・ゲイツは仕事の結果にとても厳しい人らしいです。こんなエピソードが載っていました。
とあるパーティで、ビル・ゲイツが部下にパーティ用の花を用意するように指示しました。部下はすぐに花屋にパーティーで必要な花をオーダーしました。しかしパーティー当日に大雪の予報となり、花の到着が遅れるとの連絡が花屋からありました。あわてて部下は、ビル・ゲイツに雪のためにお花の到着が遅れそうだと報告したところ、ビル・ゲイツはたいへんに激怒したというのです。
彼が部下に指示したのは、パーティーに花を用意することで、花屋に花をオーダーすることではない。パーティー当日に確実に花を用意することが仕事であって、天気や様々な問題も含めて花を用意することを部下に求めたというのです。
また、別の例も印象的でした。
ある人と17時に渋谷で会う約束をしたとしましょう。
17時に渋谷で人と会うということは、17時に間に合う電車に乗るということではありません。
17時に渋谷にいることが大切なのです。
もし、「17時に間に合う電車に乗る」ことが目的化していたとしたら、その電車に乗ったにも関わらず約束に間に合わなかった場合、自分には責任がないと思うでしょう。
電車が止まったとかダイヤが3分乱れたとか、自分には責任がないと思うはずです。
しかしビル・ゲイツが言っているように「17時に渋谷にいること」を目的としていれば、16時半には渋谷に着いてお茶でもしているか、スケジュールが許すなら15時に恵比寿で他の用事を済ますなど行動が変わってきます。
ちょっと話がそれてしまいましたが、「工期は必ず守る」という意識をすべての工事に関わる人たちが持つことが重要だと思います。それでも万が一竣工日が遅れた場合には、そのリカバリーがどのようになるかは、工期を必ず守るという意識がある場合と、ない場合では雲泥の差になること思います。