2022年、今年で Apartment RIKYU は築51年になります。
建て替えせずフルリノベーションで建物存続していますので、現在巷で募集されている物件に比べ性能面でかなり劣っている建物です。この少なくない欠点をかかえた建物を面白く快適にするのは、住民さんの理解と協力が不可欠です。おかげ様でこの3年間面白く楽しく過ごすことができました。
Apartment RIKYU は「ひとりだけど独りじゃない」というコピーを掲げています。
これは私のこれまでの経験から考えたコピーです。ある意味必然にこの言葉が選ばれました。機能面で劣っている建物での暮らしで、関わる人たちがすべてが嫌な想いをすることなく快適に過ごしていくには「お互い様」の精神がなければそれは不可能です。何をするにも回りに対する配慮があって成り立っていますし、何より長く良い環境を持続するには絶対にこの精神が必要になってくるのです。言い換えれば住民さん同士が関わりあわなければ、この建物での暮らしは快適にはならないということでもあります。どこに誰が住んでいてどのようなことを生業にしていて、今どんな状況なのか?暮らしをともにする人たちに対し興味を持ち、関わり、皆で快適に過ごすためにどうするか?を共有できること。それが「ひとりだけど独りじゃない」というコピーの意味なのです。
賃料をいただいておいて、いろいろお願いするのはいかがなものか?とも正直思いますが、この精神をご理解・ご協力いただけないのであれば、apartment RIKYU にわざわざ暮らす必要はないのです。巷には素敵な物件が星の数ほどありますから、我々としては我慢をしたり嫌な想いをしてまで同じ建物で暮らしていただくことは本意ではないのです。
Apartment RIKYU の優先事項は、住民全体に対する配慮、そして周辺に対する配慮です。
具体的にそれは音であったり、ゴミ出しであったり、立ち振る舞いであったりするのですが、もちろん生活しているわけですから生活音は当然出ますし、ゴミも毎日でます。急いでいてなりふり構わずの時もあるでしょう。
そんな毎日の様々な状況の中で、時間帯によって周囲に配慮することや、友人が遊びにくることで騒がしくなることのアナウンス、ゴミから水だたれないように袋を二重にしたり、階段にすれ違ったら笑顔で挨拶するなど、自分だけが暮らしているのではないという意識・感覚を常に持つことをお願いしています。
パッと見た第一印象から、運営側、特に大家の独断で管理運営されている物件のように思われることがあるかもしれませんが、運営はあくまでもサポートであって暮らしを作るのは住民さんたち本人です。「大家が良い」といえば例外が許されるというのではなく、優先されるのは基本全体の総意です。あきらかなトラブルや、重大問題に対しては大家が対処しますが、日々の快適な暮らしの構築は、住人さんたちそれぞれが作っていくものです。現在までRIKYUの暮らしが快適であったのも、住人さんたちそれぞれの価値観の共有があったからに他なりません。
では、新築物件では要求されないような色々な事や、機能面で劣っている築古の物件にわざわざ家賃を出して住むことっていったいなんの価値があるのしょう?
我々はその価値がいったい何なのかいつも考えていますし、この暮らしに中に価値はあると思っています。ただ万人がその価値に共感できるわけではないということ、また初めは共感していたけれど時間とともに生活が変化し共感度が下がってきてしまうこと、をフルリノベを終えて3年経過した今痛感しています。お願いするわけですから、我々も住人さんたちにできることはできる限り努力することを念頭においています。運営側と住人もやはり「お互い様」なのです。
本来ルールなど作ることなく、住民全員が心地よく暮らせることが理想ですが、ある程度の決まり事はやはり必要です。最小限のルールの行間を読んで規則の意味を理解していただければこれ以上嬉しいことはないのですが、長く続けていくと理想ばかりを言っていられなくなることがあります。
一番むなしいのは、ここは外国ではなく今も昔も日本ですから、日本人ならおそらく共通理解がされていると思っている些細なことまで、ルール化しなくてはならない状況です。
これから Apartment RIKYU を継続していくにあたって、我々が大切にしている考え、優先事項を理解・共感していただけるかどうか?を繰り返しRIKYUに関わる人や、今後新たにRIKYUに加わる人たちに対して説明していきたいと思います。