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非効率な豊かさ

足りないからこそ工夫が生まれる

RRP_303 「Music + Photo」room

 しばらくの間、空間実験として写真スタジオで利用していた303号室ですが、工事も折り返し地点を過ぎてお部屋の完成のイメージが具体的に見えてきました。

 

 決して広いとは言えないこのスペースの、半分を音楽、残り半分を写真、とテーマを設定して

プロジェジェクトの当初から相談していてる Kanade Labo に空間実現をしてもらっています。

従来の賃貸からすれば、この部屋はありえないと言って良いでしょう。

そもそもそんなに広くない部屋に防音室を設置し、さらにその半分に巨大な写真現像用のシンクを

運び込むプランです。

 

「人が住むには狭すぎるし、いったいどこに寝るんだ」と質問されることは明らかです。

 

RRPからの回答はこうです。

人は住めません、寝る場所は別のところでお願いします。

 

「ここでは昼寝くらいしかできませんが、もし音楽や写真に興味がある方なら絶対楽しいですよ」

 

RRP_303 に完成する写真スペースは、フィルム写真の現像のための暗室です。

撮影のための写真スタジオとしては狭すぎるので、撮影は他のどこかでということになります。

この時代にわざわざフィルムの現像を自分でやることの必要性は疑わしいですが、この生きて

いくのに特に必要のない作業の中にこそRRPの理念があると感じています。

 

築47年の古いビルを壊さないでリノベすることや、エレベーターのない 5階建てに住むこと。

気密性のイマイチな部屋での生活や、隣人の生活音が聞こえてくる生活。

どれもこれも捉え方によってはマイナスな要素しかありませんが、逆に捉え方によってはこれほど

面白いことはないと思うのです。

 

RRP_303 では真っ暗な部屋の中で撮影したフィルムを、手間暇をかけて現像していきます。

手間暇をかけたからこそ、出来上がった写真には愛着がありますし、何よりその作業が楽しい

のです。

 

RRP 全体のプロジェクトも写真現像と同じように、いろいろと効率の悪い中から生活の中の

豊かさを発見していけたらと思います。